2000年(平成12年)から始まった『平泉文化フォーラム』が、今回で10回目を迎えました。毛越寺前の平泉小学校体育館を会場に、約400人もの来場者がおいでくださり、盛岡市内から、3台のバスを連ねた団体での来場もありました。
平泉文化フォーラムは、岩手県と、岩手大学を始めとする県内5大学で構成される「いわて高等教育コンソーシアム」、および文部科学省科学研究費補助金特定領域研究事業とによって、共同で開催しています。
河原純之先生の基調講演
河原純之先生は、平泉遺跡群調査整備指導委員会の委員長を務めておられます。
『柳之御所遺跡の発掘調査~日本史に与えた影響と意義』と題して、約20年にわたる発掘調査の歴史を中心に講演されました。
建設省(現国土交通省)の、北上川遊水地事業と、平泉バイパスの建設工事にともなう発掘調査がきっかけで、柳之御所遺跡の重要性が明らかとなり、関係機関の努力や協力を得ながら、調査から保存・整備に至った経緯と、今後の展望について話されました。
発掘調査・研究報告
基調講演とともに、柳之御所遺跡、無量光院跡など、今年度の調査成果の発表が行われました。 また、柳之御所遺跡や平泉遺跡群の、長年にわたる調査成果をふり返るとともに、平泉の歴史に関わる研究成果もあわせて報告されました。
第70次 柳之御所遺跡(櫻井友梓氏:岩手県教委)
第22次 無量光院跡(鈴木江利子氏:平泉町教委)
南日詰小路口Ⅰ・Ⅱ遺跡(紫波町)(阿部勝則氏:県埋文センター)
柳之御所遺跡の調査成果(西澤正晴氏:平泉遺跡群調査事務所)
平泉遺跡群の調査成果(島原弘征氏:平泉町教委)
『柵と居館から見た平泉』(羽柴直人氏:県埋文センター)
『都市史の中の平泉 -都市の"かたち"から-』(前川佳代氏:奈良女子大)
『宗教から見た平泉』(誉田慶信氏:岩手県立大)
以上の研究報告をもとに、発表者をまじえてのパネルディスカッションが行われました。
![報告後のパネルディスカッション [89KB]](/uploads/contents/forum_0000000073_02/012_2009forum.jpg)
報告後のパネルディスカッション(司会 左から、佐藤嘉広氏:岩手県教委 / 菅野文夫氏:岩手大)
ポスターセッション
昼食時の休憩時間に、3つの遺跡のポスターセッションと、出土遺物の展示解説が行われました。
長者ヶ原廃寺跡・白鳥舘遺跡の発表(石﨑高臣氏:奥州市世界遺産登録推進室)
人首川流域の平泉関連遺跡の発表(鎌田勉氏:岩手県立博物館)
アンケートによると参加者は、50歳代以上の方が4分の3を占めました。また、盛岡市や県内外からも多くの方々が、雨天にもかかわらず参加されました。この場を借りて、厚くお礼申し上げます。いただいたアンケートをもとに、今後もさらにより良いものとしていきますので、ぜひ次回もいらして下さい。